丸山製作所のプランジャポンプモータセットを設置する際の設計のアドバイスを掲載しております。
プランジャポンプは、プランジャスリーブが吸水・吐出行程を行う往復動ポンプを指します。
吸水量はポンプ入力回転速度に比例しますので、ポンプ自身では流量の制御は出来ません。
圧力の制御は別途装備する調圧弁もしくはアンローダバルブで行いますのでポンプ自身で圧力の制御は出来ません。
必ず調圧弁・圧力計などの圧力制御機器を配管してご使用ください。
プランジャポンプの能力を最大限に引出すためには、周辺機器の設計や検討が必要となります。
プラプランジャポンプの性能は、配管システム全体の影響を受けます。最良の性能を得るために、ポンプ及び装備品を適切に選択し、最適の配管の上、適切な運転を行ってください。
カタログに記載されている仕様の最高値は、それぞれ独立した特性値です。 すべての特性の最高値が同時に達成されることを意味しているわけではありません。ポンプ仕様にある各項目をすべて最大値で使用することは出来ません。自動車の仕様で最大速度と最大積載量が両立しなのと同じです。 圧力・吐出量の他に給水圧力・水温・使用液など、作業で優先されるものと譲歩できるものを選択し設計してください。 どれかひとつでも最大値で使用したい時や、設計にあたって判断に悩む時は、弊社営業部へお問い合わせください。
高温水、高濃度のアルカリ性液・酸性液・スラリー液は、ポンプの寿命を著しく縮めます。 プランジャポンプでは、液温で粘性の変わるものは使用できません。揮発性のある液体や粘性の高い液体の使用は避けてください。 清水以外の液体を使用する時は、必ず、弊社営業部へお問い合わせください。 高温水を使用する場合の注意事項は、【吸水配管の注意事項】に詳細情報が記載されています。必ずお読みください。 洗浄目的以外で使用する時は、配管システムが違う場合がありますので弊社営業部へお問い合わせください。
設計する設定回転数と吐出圧力の最大値に合わせてモータを選定する必要があります。ポンプ側Vプーリ・モータ側Vプーリの組み合わせで極数(4Por6P)の選択をする必要があります。吐出圧力の常用圧力は最大圧力の97%以下になるように設計してください。モータ出力の選定に関しては弊社営業部にお問い合わせください。
ポンププーリは、所要動力・運転時間を考慮して、Vプーリ・Vベルトを適切なサイズのものを選定をしてください。 ポンプ仕様の最大回転速度以上に設計することは出来ません。ポンプの損傷を著しく早めます。 Vベルトの設計は十分な強度を計算して設計してください。 ポンプ・モータの軸間に合ったVベルトを選択してください。Vベルトの張力が緩いとスリップや損耗の原因となります。また張り過ぎると、ポンプ・モータのベアリングを傷めます。 ポンプとモータのVプーリの平行度(アライメント)に大きなズレがあると、駆動系のトラブルが生じますので、Vプーリ・Vベルトのメーカーのカタログ等にて許容値を確認の上ご使用ください。
クランクケースに回転方向が表示されているポンプをご使用の場合、表示されている回転方向でポンプが回転するように設計してください。諸事情により逆回転でご使用の場合は、クランクケースオイルの油量を若干多めにして潤滑が充分に行えるようにしてから運転をしてください。オイルは入れ過ぎると注油口キャップから吹き出す場合がありますのでご注意願います。
ポンプベースの強度はモータとポンプの所要動力・使用時間・設置環境を考慮した強度、材質で設計してください。ポンプは水平で丈夫な場所に設置する必要があります。
ポンプとモータの軸間距離はポンプのオイル交換作業を考慮した距離をとるようにしてください。Vベルトの点検が容易になるようにベルトカバーの位置・大きさ・形状としてください。
ポンプは凍結からの保護が必要です。凍結の恐れがある時は、使用後にポンプから液を抜くか、不凍液を充填するか、ヒーター等で凍結防止の対策が必要となります。
ポンプの接液部の前方向は消耗品交換のための整備エリアが必要です。オイル交換作業や装備した流体制御機器や配管材等のメンテナンスを意識した設計が必要となります。
ポンプ、モータに水、風雨が直接降り掛からないようにしてください。また、カバーリングをする場合は熱が篭らないよう、必ず排気設備を取り付けるようにしてください。
出荷時にクランクケースオイルは注入されていません。注油せずに運転するとポンプは必ず破損します。
運転前にはオイルの注油と油量の確認を必ず行ってください。
モータとポンプをセットする場合、クランクケースのオイル交換が容易になるように芯間の設計をしてください。常にメンテナンスを意識した設計をする必要があります。
圧力の制御は調圧弁で行います。ポンプ自身で圧力の制御は出来ません。必ず調圧弁・圧力計などの圧力制御用機器を配管してご使用ください。 調圧弁の設定でポンプの仕様圧力以上に圧力をあげる事は避けてください。 調圧する時は、最小の圧力から徐々に設定圧力に昇圧して設定します。調圧弁に関する詳細情報は【調圧弁の取扱説明】の項目を参照ください。
圧力計はポンプ吐出配管に必ず取り付けてください。この場合、圧力計で確認する圧力とは、ポンプ吐出配管の圧力です。吐出バルブ・洗浄ガンが「閉」の状態で圧力を確認します。ノズルや洗浄ガンから吐出している時の圧力ではありません。圧力計は、設定値圧力の2倍相当の最大目盛りを持つ圧力計を選択してください。耐震型のグリセリン入り圧力計を選択いただくことで安定した圧力の監視が行えます。
ポンプ吐出配管には、アキュムレータを取り付けて圧力の脈動から配管及び装備機器を保護するようにしてください。取り付け場所はポンプマニホルドに直接取り付けるのが最良ですが、大型のアキュムレータの場合は機体振動の影響で配管が破損する場合がありますので、セットベース上に別途設置し配管してご使用ください。
ポンプ直近の配管には、吸水配管・余水配管・吐出配管があります。 ポンプ脈動低減のために、ポンプ直近の配管はフレキシブルホースで行ってください。ポンプ直近で配管が外せるようにして、メンテナンス作業を容易に行えるように配管設計をする必要があります。
ポンプの空運転は厳禁です。充分な吸水が出来る条件で運転が出来るように設計してください。 ポンプと給水タンクの間には、ポンプの空運転防止策を講じた上で給水バルブを設け、メンテナンスの時に給水を遮断できるように設計してください。
【注意】他の部分の設計が充分になされていても「給水配管」の状況が適切でないと重大な動作不良が発生します。極めて単純な事柄が重大なトラブルの原因になる場合が多々あります。必ず【給水配管の注意事項】をお読みください。
ポンプ運転前には、吐出配管は圧力が開放されるように設計してください。 初期の運転時に圧力の上がり過ぎにより、ポンプや周辺機器や配管の破損の原因になることがあります。 ポンプの圧力とはポンプマニホルドの圧力を言います。ノズルやオリフィス・ガンノズルの圧力を指すのではありません。 ポンプ吐出口には、吐出バルブを取り付けて、ノズルやオリフィス・ガンノズルを使用しないでも圧力の設定が出来るようにしてください。 また、ポンプ起動時に配管内のエアを排出するために、エア抜き用のバルブを配管するようにしてください。
調圧弁には余水配管が必要です。余水0%の運転ではポンプ・調圧弁が早期損耗する場合があります。詳細情報は【調圧弁の取扱説明】の項目を参照ください。